報告書(やや長文注意)

せっかく見に行ったので、昨日の試合のレポートを原稿用紙5枚以内で。

まず良かった点から。
ピンチはほとんどなかった。オーストラリアが前がかってせめて来なかったというのはあるにしても、ピンチらしいピンチをほとんど作らなかったのはよかったと思う。中澤の仕事は完璧だったし、前からの守備でも、誰かのファーストプレッシャーを見殺しにすることなく、きちんと2人目、3人目が連動していた。都築が大きな仕事をしたのは1回だけだった。

ホームらしくきちんとポゼッションした。ちゃんとスタッツを見たわけじゃないけど、かなりの割合で日本がボールを支配していたと思う。細かいパスを繋ぎながら、詰まったら大きな展開。オーストラリアの真ん中は固かったが、クロスもいろいろ工夫しようという意図は感じられた。
正直、戦術的な側面に関しては、結構いいところが見れた試合だったと思う。

けど。
といって、次にくるのは悪かった点。

一言で言うと、試合が熱くなかった。この試合にどうしても勝つんだというファイトがほとんど感じられなかった。
試合の熱さの一番簡単なバロメータは、球際の激しさと、無駄走りの量だと思う。いかに球際がぬるかったかというわかりやすい数字が、ファールの数とイエローカードの数だ。日本が犯したファールは試合を通じて17回。カードは1枚ももらっていない。もちろんファールはしない方が良いわけではあるが、親善試合や格下相手の試合ならともかく、ワールドカップのかかった予選本番でこの数字は、ぬるい試合としか言いようがないと思う。
無駄走りに関しても、本気で走り続けていたのは達也くらい。なまじポゼッションできてしまったせいで、2人目、3人目のオフザボールの動きがとても少なかった。

敗因(負けてはいないが負けたに等しい)を挙げるとすると、ゲーム中に試合のテンポを変えられなかった点だと思う。
といっても、普段から一緒にプレーしているわけではない代表チームには、これは結構難しいことなのかもしれない。岡田監督も「うちは、試合の入り方が悪いといつも苦戦する」と、以前から指摘していた。
それがわかってるんだったら、最初から全力で行かないと。100歩譲って前半は様子見としても、後半は最初から飛ばさないと。
慎重に試合に入った結果、最後までローリスクでクールな試合をしたオーストラリアに付き合ってしまったように思う。

岡田監督が標榜する、「人とボールが動くサッカー」、「攻守の切り替えの早いサッカー」、という言葉から、戦術的側面をばっさり切り落とすと、それはまさに「熱いサッカー」ということだと思う。高い位置から激しくボールを追い、ピッチ中で無駄走りしまくっているサッカー。
昨夜は、戦術的にはかなりの部分まで形を見ることが出来た。あと足りないのはゴンちゃんの魂だ。