一日休みだったので、長文書いた

今日の日記は「である調」で。

たぶん多くの人がそうだと思うんだけど、耳に馴染む、受け入れやすい音楽(ポップミュージックに限る)って、自分より10歳くらい上の人が作っていることが多い。
僕の守備範囲で言うと、桜井和寿、吉井和哉、トータス松本、草野マサムネ、YO-KING、浅井健一、奥田民生あたりの世代。要するにアラフォー。

彼らは、僕らが一番多感に音楽を聴いていた10代後半の頃にヒットチャートのトップにいて、僕らに音楽とは何ぞやということを刷り込んだ世代だ。もっと広げて言うと、僕らの世代が共通してかもす空気とか、共通して持つ価値観を作った張本人達とも言えるかもしれない。

7、8年前くらいから聞き始めて、年々僕の生活になくてはならないバンドになって来てる、the pillowsというバンドもアラフォー世代。作詞作曲の山中さわおは68年生まれの今年41歳だ。

the pillowsと山中さわおが、アラフォー代表として上で挙げた7人と異なるのは、僕らが一生懸命音楽を聴いていたあの頃、彼らはヒットチャートのどこにもいなかったことだ。そして今に至るまで、ヒットしたとかブレイクしたとか言えるような曲を出せていない。例えばシーソーゲームや、Love Love Showや、ガッツだぜや、ロビンソンみたいな曲を、the pillowsはまだ持っていない。

そんなthe pillowsが、先日結成20周年を迎えた。
20周年を祝うライブ「20th Anniversary “LOSTMAN GO TO BUDOKAN”」は、彼ら初の武道館公演。ウルフルズがガッツだぜのヒットで一足飛びに立ったステージに、the pillowsは20年かけて、特筆するヒット曲なしに、地道にファンを増やしてたどり着いた。チケットは発売10分で完売したらしい。

山中さわおは、わりと露骨に「メジャーになりたい」と発言し、また「自分にはポップな曲を書く才能がある」と言う。一方で、自分の音楽をオルタナと定義し、大衆的な軽い音楽をバカにするようなところもある。
「ストレンジカメレオン」で、自分を「周りの色に馴染まない出来損ないのカメレオン」「滅びる覚悟はできてるのさ」と決意を歌ったあとも、それでも馴染めるものなら馴染んで売れる曲を作りたい、と葛藤する姿が見え隠れする。

そんな彼にとって、武道館公演の成功は大きなご褒美になったと思う。
ライブのMCで
山中「あぶねー。途中で泣きそうになったよ。ギリギリセーフ」
観客「アウトでしょ!」
山中「やっぱり?俺もそう思った。アウトだよな。」
みたいな掛け合いがあった。遠くからはよく見えなかったが、けっこうウルウル来てたようだ。

20周年にあわせて出したシングル「雨上がりに見た幻」で、彼は
「足跡のない道を選んでずいぶん歩いたな 荒野の果て どこかにきっと足跡残っている それだけが生きた証」
と歌っている。改めて、迎合することなくオルタナティブな歌を歌って行こう、という決意に取れる。その歌を、武道館の1万人の観客が聞いている。
「売れたい」と「自分らしい歌を歌いたい」の間で葛藤した20年間のプロセスと、その結果生み出された歌(答え)を、少なくない数の人が肯定した。

the pillowsのライブに行くと、やっぱり僕と同世代の客が多い。10数年前にカラオケでイエモンを歌ってた頃、僕を含めた多くが多分the pillowsを知らなかっただろう。それなのにやっぱり同世代が集まるのは、世代から世代へ音楽が刷り込まれているからなのかな、と思った。

40過ぎたおっさんが、ライブハウスのステージで、したたる汗をタオルでごしごし拭きながら、人生をかけて足掻いている。ミスチルに勝てないって悔しがってる。自分のことをロックスターとか言っちゃってる。でも、僕らにとっては、そんな姿がたまらなくカッコよかったりする。勇気づけられちゃったりもする。アラサーはアラフォーに弱いのである。

このテキストを読んで、the pillows、聞いてみようかなと思った方に。

とりあえず最新シングル「雨上がりに見た幻」を聞きましょう。
気に入って、アルバムも聴いてみようかなって気になったら、「MY FOOT」がおすすめ。

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そうへい

都内の某ベンチャーでWebまわりの開発してます。趣味でドラムとパーカッション叩いてます。スノボ、キャンプ、登山、秘湯めぐり等、アウトドア全般イケます。LiverpoolFCのファンです。